(特別寄稿)精神科の薬について~薬への不安と上手な付き合い方~【コラム#139】
【ヒューマン・タッチ レター vol.139】
■薬を飲むことへの不安と、服薬のメリット
相談を受けていると、薬を服用することに抵抗があるとおっしゃる方は多くいらっしゃいます。身体疾患の場合には、早く回復するために薬を飲むことは当たり前に近いと思いますが、メンタル疾患の場合は少し違うようです。
「薬を使うことは甘えで、気持ちの持ちようでどうにかなるのではないか」「一度薬を飲み始めると、一生飲み続けることになるのではないか」「飲み始めると性格が変わってしまうのではないか」「副作用がきついのではないか」「仕事に支障が出るのではないか」などと話されます。また、服薬を勧めた際には、「薬をもらうために受診すると、仕事を休むことを勧められるのではないか」などの心配事が挙がります。
例えば、夜になかなか寝つけず、困っているとします。睡眠不足でも日中は何とか過ごせますが、それが続くと、仕事での集中力の低下やミスの増加につながります。そうなると、仕事が進まなくなるだけでなく、仕事ができていない自分を責めたり、前のように眠れるようになるのだろうかと不安になったりするなど、二次的な症状が生まれます。
そのようなときは、不眠や不安を和らげる薬を使うことで、さらなる症状を防ぐことができ、結果として早期に回復しやすくなります。また、今のつらさを和らげるためには、環境をどのように調整するとよいのか、自分でどのように対応するとよいのかを冷静に考えやすくなります。
そもそも、精神症状に対する薬はどのように効くのでしょうか。
「薬を使うことは甘えで、気持ちの持ちようでどうにかなるのではないか」「一度薬を飲み始めると、一生飲み続けることになるのではないか」「飲み始めると性格が変わってしまうのではないか」「副作用がきついのではないか」「仕事に支障が出るのではないか」などと話されます。また、服薬を勧めた際には、「薬をもらうために受診すると、仕事を休むことを勧められるのではないか」などの心配事が挙がります。
例えば、夜になかなか寝つけず、困っているとします。睡眠不足でも日中は何とか過ごせますが、それが続くと、仕事での集中力の低下やミスの増加につながります。そうなると、仕事が進まなくなるだけでなく、仕事ができていない自分を責めたり、前のように眠れるようになるのだろうかと不安になったりするなど、二次的な症状が生まれます。
そのようなときは、不眠や不安を和らげる薬を使うことで、さらなる症状を防ぐことができ、結果として早期に回復しやすくなります。また、今のつらさを和らげるためには、環境をどのように調整するとよいのか、自分でどのように対応するとよいのかを冷静に考えやすくなります。
そもそも、精神症状に対する薬はどのように効くのでしょうか。
■精神症状に対する薬はどのように効くのか
私たちの気分を保つうえでは、脳内の神経細胞同士が情報のやり取りをしており、それを担う神経伝達物質の働きが重要とされています。例えば、セロトニン、ノルアドレナリン、GABA、オレキシンなどが、気分や意欲、睡眠などに関係しています。薬はこれらの働きを調整することで、「過剰になっている脳の活動を抑える」「不足している働きを補う」「乱れているリズムを整える」といった形で症状を和らげます。「特定の物質が足りないから薬で補充する」という単純なモデルではなく、神経回路や受容体など、複数の仕組みを薬が調整していきます。
例えば、睡眠薬には、①脳の興奮を抑えるタイプ、②覚醒を維持する仕組みを弱めるタイプがあります。
①は、不安や緊張などで脳が「覚醒モード」になっている場合に、その働きを抑えて眠りに入りやすくします。
②では、近年、オレキシン受容体拮抗薬が使われるようになり、覚醒を維持するオレキシンという神経伝達系の働きを抑えることで、睡眠へ移行しやすくします。依存性や薬剤耐性は、従来のものより比較的少ないといわれています。
また、気分が落ち込む、何をしても楽しくない、疲れやすい、集中できない、自分を責めてしまうなど、うつ状態のときには抗うつ薬が使われ、代表的なものにSSRIやSNRIがあります。
SSRIは、神経細胞から放出されたセロトニン(心の安定や集中力の維持に関わる)が再び取り込まれるのを抑え、セロトニンの働きが持続しやすくなるように調整します。落ち込んだ気分が薬ですぐに元気になるわけではなく、薬を飲み始めてから2~4週間かけて、ゆっくりと効いていきます。
また、「何か悪いことが起こるかもしれない」「失敗したらどうしよう」「人からどう思われているだろう」などの考えが浮かぶ不安の症状には、抗不安薬やSSRI、SNRIなどの抗うつ薬が治療に用いられます。抗不安薬は、不安をまったく感じなくする薬ではなく、「不安のボリュームを下げて、不安があっても行動できる状態をつくる」というイメージかもしれません。
例えば、睡眠薬には、①脳の興奮を抑えるタイプ、②覚醒を維持する仕組みを弱めるタイプがあります。
①は、不安や緊張などで脳が「覚醒モード」になっている場合に、その働きを抑えて眠りに入りやすくします。
②では、近年、オレキシン受容体拮抗薬が使われるようになり、覚醒を維持するオレキシンという神経伝達系の働きを抑えることで、睡眠へ移行しやすくします。依存性や薬剤耐性は、従来のものより比較的少ないといわれています。
また、気分が落ち込む、何をしても楽しくない、疲れやすい、集中できない、自分を責めてしまうなど、うつ状態のときには抗うつ薬が使われ、代表的なものにSSRIやSNRIがあります。
SSRIは、神経細胞から放出されたセロトニン(心の安定や集中力の維持に関わる)が再び取り込まれるのを抑え、セロトニンの働きが持続しやすくなるように調整します。落ち込んだ気分が薬ですぐに元気になるわけではなく、薬を飲み始めてから2~4週間かけて、ゆっくりと効いていきます。
また、「何か悪いことが起こるかもしれない」「失敗したらどうしよう」「人からどう思われているだろう」などの考えが浮かぶ不安の症状には、抗不安薬やSSRI、SNRIなどの抗うつ薬が治療に用いられます。抗不安薬は、不安をまったく感じなくする薬ではなく、「不安のボリュームを下げて、不安があっても行動できる状態をつくる」というイメージかもしれません。
■薬と上手に付き合うために
薬によっては、眠気、吐き気、体重の変化、依存や耐性への注意、中止時の離脱症状が必要な場合があります。
「効いてきたから自己判断ですぐにやめる」「眠れないから自己判断で増量する」ことは避ける必要があります。
薬を飲むか飲まないかという希望や意思は、きちんと尊重されます。基本的には医師と相談しながら、服用してみての状態や、副作用が出た際にはその状況も丁寧に確認しながら進めていきます。症状が安定してくれば、薬の量や種類を減らしたり、中止したりすることも検討できます。
今のつらさを和らげるために、服薬、生活や環境の調整、心理的な支援(カウンセリング)など、今のご自身の状態にとって何が必要なのか、どう組み合わせられるのかを考えられるとよいと思います。
「効いてきたから自己判断ですぐにやめる」「眠れないから自己判断で増量する」ことは避ける必要があります。
薬を飲むか飲まないかという希望や意思は、きちんと尊重されます。基本的には医師と相談しながら、服用してみての状態や、副作用が出た際にはその状況も丁寧に確認しながら進めていきます。症状が安定してくれば、薬の量や種類を減らしたり、中止したりすることも検討できます。
今のつらさを和らげるために、服薬、生活や環境の調整、心理的な支援(カウンセリング)など、今のご自身の状態にとって何が必要なのか、どう組み合わせられるのかを考えられるとよいと思います。
投稿日:2026.10.29
