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(特別寄稿)自分の「転機」をどう乗り越えるか【コラム#131】

(特別寄稿)自分の「転機」をどう乗り越えるか【コラム#131】

【ヒューマン・タッチ レター vol.131】

 転機は多かれ少なかれどの人にも訪れます。

 例えば、職場では、転勤・異動、業務の変更、上司や部下が変わる、昇進する、昇進を期待したのに見送られるなど、家庭では、結婚、出産などで家族が増えることもあれば、死別、親の介護や子供の成長に伴う変化もあるでしょう。予測できる転機もあれば、ときには事故や災害など予期しない出来事によって突然人生が揺さぶられることもあります。 

 

■米国の心理学者シュロスバーグ

 米国の心理学者シュロスバーグは転機を乗り越えるためには「4Sモデル」という枠組みを提唱しています。これは4つの視点(①Situation状況②Self自己③Support支援④Strategies戦略)から自分の状況を整理するというものです。

1.Situation(状況) 影響の度合いは?どのくらい続くのか?どのくらい重大性なのか?タイミングはどうだったか?コントロールはできるものか?

2.Self(自己)自分の能力、経験、価値観、将来展望、対処スキル

3.Support(支援)サポートの資源は?(人間関係、経済的・物質的資源など)

4.Strategies(戦略)状況を変化させる対処は?ストレス解消のための対処、対応策

■例えば・・・

 例えは・・プロジェクトリーダーが体調不良となり、来週から病休となった。リーダーが復帰するまで、サブリーダーである自分が急遽リーダーを務めなければいけなくなった。

これを4つの視点で整理してみると ・・・

1.プロジェクトリーダーは体調は良くなさそうではあったが、休むほどとは思わなかった。どのくらい休むのか全然わからない。サブとはいえ管理的な業務はリーダーにほとんど任せていた。

2.自分がリーダーとして動くのは初めて。メンバーをまとめられるか自信がない。業務内容もまだ勉強追いついていない分野で不安。

3.上司は都度話を聞いてくれると言っている。また経験豊かな先輩に、一時的にメンバーとして参加してもらえるよう調整していると言っている。

4.自分が今できることとできないことを分ける。できないことは上司に報告し相談する。緊張しているので、休日はなるべく予定を詰め込みすぎずに身体を休めるようにする。

 転機の際は、まず転機が訪れた、また転機を迎えている最中という事を認めることが大切だと言われています。その上で、混乱しながらも4つのリソースの点検作業をしていけるとよいですが、自分だけで考えると偏ってしまうこともあります。より客観的に捉えられるよう専門家と話し合っていくのも一つかと思います。

■過去の転機を振り替える

 また、今転機に直面していなくても、過去の転機を4つの視点で振り返ることもできます。

1.Situation(状況)変化は予測していたものだったか?そうでなかったか? その状況をどう受け止めたか?自分にどんな影響があったのか?

2.Self(自己) 変化を望んでいたのか? 望んでいなかったのか? 当時の自分の能力や経験はどうだったか?

3.Support(支援)当時頼った人はいたのか? 情報収集はできていたか? 拠り所にしたものは何か?

4.Strategies(戦略)どんな対応をして、その転機を乗り越えたのか?

 いくつかの転機を振り返ってみると、変化が起こる時の自分の感情・行動・身体の反応や受け止め方の傾向や支援の求め方や情報収集の仕方のパターンに気づくことができます。

 転機は繰り返し訪れます。それは時間がかかったとしてもやがて終わり、次のステージに進んでいきます。過去に乗り越えた転機を時に振り返ると、自己理解が進み、先に訪れる転機を乗り越えられることにも繋がるかもしれません。
投稿日:2025.11.07
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