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【コラム#88】復職支援における個別面談の役割

【コラム#88】復職支援における個別面談の役割

みなさんこんにちは。ヒューマン・タッチ森川です。前回は、復職支援における自律訓練法の効用をお伝えしました。今回は、復職支援における個別面談の効用について考えてみたいと思います。

    会社側のメリット

    弊社の支援では、休職者の方(会社側が指定)に、担当のカウンセラーが休職開始時から、月1回の面談と会社への報告を通して、療養中の状況把握と復職までの個別支援、復職時の意見書作成。また、復職後も3か月は面談を継続してフォローアップにあたっています。

    会社側のメリットとしては

    ・療養中の状況を正確に把握できる

    ・休職者の個別的な課題(偏った認知など)に対しても、ある程度影響を与えられる

    ・復帰時の注意すべきこと、配慮すべきことを意見書として詳細に確認できる

    ・復職後の本人の揺れに対応できる

    ・休職復職を繰り返すリスクを低減する、等があげられます。

    もちろん、全ての方が復職できるわけではありませんが、復職後のフォローは、特に休職復職を繰り返す方には意味があると感じています。

    また、結果として、退職されるとしても、漫然と休職期間を過ごし、本人も会社も社会保障の費用負担を継続するよりも、自分の今後のキャリアの整理などに、定期的な面談を活用し、早めに進路を決められるメリットも大きいと感じます。



    継続面談の役割

    継続面談の中での役割は、

    ①療養中は体調面の回復の意味合いでお会いし、

    ②復職時から復職後のフォローアップの際には、共に戦う同志の様な存在として機能させているという事です。

    ①の場面では、服薬や生活リズムの安定、また、体調が整ってくれば、なぜ不調に至ったのかを自分自身の性格傾向の把握と共に進めます。その上で、より適応的な思考を導き出す方法や適応的な思考からの柔らかい行動を実践(実験)して、身に付けていく作業をご一緒します。

    ②の場面では、①で習得した方法を実践の場で使ってみる事になりますので、共に進む同志として、実験を後押しし、失敗して体調面まで変化が現れることもありますが、それを支え、時には背中を押す場合もあります。

    会社の判断基準

    誰しも自信満々で復職されるわけではありませんが、復帰後に「やっぱり駄目だった」という感想を持つ方は多くいらっしゃいます。体力面の低下、職場環境の変化、自身の認知の偏り、など要因は様々です。

    このような時に、「大丈夫、焦らずゆっくりいこう」とだけ伝えて、繰り返す休みを肯定するのでは、例えば、朝「会社に行きたくない」気持ちが大きく、吐き気も感じ、微熱もあったので休んだ、ということが続いた場合、会社はどのような判断になるでしょうか。

    勤怠面のレベル分け

    会社側から見た際に、復職者の最大の評価は、勤怠面の安定です。最低でも復帰後3か月は勤怠の乱れ無く出勤したいところです。ですので、上記のような状況が継続されれば、復職者自身の自信の喪失だけでなく評価が下がってしまう可能性が高くなります。

    「朝の気持ちが悪い感覚」が10段階あるとして、1でも出現すると、「もうだめだ、今日はいけない」「もっと体調が悪くなるはずだ」と感じてしまう人がいます。このような人は、会社を休む選択しか無くなってしまいます。このような人には、10段階のうち、レベルに分けた行動を提案しています。

    例えば、レベル10であれば、朝から実際に吐いてしまって、全く動けないレベル感ですから、1日休むことは妥当と考えます。ただし、レベル1~5であれば、なんとか動いて会社までいってみる、レベル6~9であれば、とりあえず半休をとって、半日休んで様子を見て、午後からレベル感が下がれば出社してみる、という風な提案です。

    共に歩む心構え

    「実際会社に行ってみると、いつの間にか吐き気が無くなっていた」と感じる方も多くいます。

    1(出社)か0(欠勤)かではなく、レベル感に分けて対応を提案する。結果として背中を押すような事もあるのです。

    このように、休職復職支援においての個別面談は、本人を肯定し支えるだけでなく、共に職場で歩んでいく存在として、価値があるのだと思います。







    投稿日:2021.10.12
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