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熊本地震から考える心のケア【コラム#136】

熊本地震から考える心のケア【コラム#136】

【ヒューマン・タッチ レター vol.136】

令和8年熊本地震により被災されたすべての皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

被害に遭われた皆様、ならびにご家族や関係者の皆様に、一日も早く安心して日常を取り戻されますことを心よりお祈り申し上げます。

メンタルヘルスの支援企業として、被災されたすべての皆様向けに、特に事業場の産業保健スタッフや担当者の皆様向けに情報提供できればとコラムを書かせていただきました。

私たちは危機的な状況に陥った際には、強いショックにより何もできず、動けなくなる時期が来ると考えられています。「ショック期」と言ってよいと思います。想像を超える、通常では経験するはずもない大きな出来事に遭遇されたわけです。当たり前の反応です。

現実を生きていく中でいつもより力が出る時期がその後に続きます。正確に言えば「疲労が感じにくくなる時期」です。目の前の課題に対応していくために一時的に疲労感を少なくして課題解決に向かう時期です。「抵抗期」とも言われます。また、今回の様な震災であれば、過酷な状況にいる周りの人たちと、手と手を携え一緒になって前に進もうという気持ちもこの時期に生まれることがあるかもしれません。

ただ、あまりにも大きな被害を前にして、「抵抗期」のみですべてが解決できない方も多いと考えます。私たちのエネルギーは無限ではありません。過酷な避難生活に加えて災害級の酷暑も重なれば、なおのことだと思います。心も体も疲労困憊になる「疲弊期」がこの後に来る方もあるのではないでしょうか。

もちろん、個人差はありますので、それぞれの「ショック期」「抵抗期」「疲弊期」の長さは一概には言えないと考えます。しかしながら、無限にエネルギーを持つ方を私は見たことがありません。被災された皆様、ご支援に入っている皆様、ご家族や関係者の皆様、それぞれのお立場で可能な範囲での休養や回復のために時間を取っていただくのは、疲弊期での影響を軽減することに繋がると感じています。

東日本大震災時の企業支援の際を思い出します。管理職の皆さんが、ご自身も被災されているにも関わらず、責任感から現場に留まり、昼夜を問わず対応されていました。
自分がやらなければ、という強い想いに敬服しましたが、心と体は限界に近い方もおられました。
このような状況下で、必要に応じて首都圏や他の地域からの応援を受け入れ、会社側からローテーションで強制的に休みを入れることを決定された企業様もあります。
一般的には、「衝撃的な状況で見られる正常な反応」として、大小はあれ、誰しも以下の様な反応が起こることも考えられます。

・眠れない      ・その場面が目に浮かぶ   ・いやな夢を見る
・不安を感じる    ・やる気が起きない     ・現実感がない
・集中力が続かない  ・頭痛、頭が重い      ・疲れやすい
・感情が不安定    ・考えがまとまらない    ・食欲低下
・悲観的になる    ・自分を責める

このような場合には、どうしても自分を苦しめる考えが想い浮かびやすいですが企業向け支援では、以下の様な情報提供をさせていただきます。産業医や保健師といった社内リソースへのつなぎ先に加えて、EAPや外部機関、また公的機関のつなぎ先も合わせて共有いただくことは意味があると考えます。

① 今、このような変化が現れるのは自然のことであり、過剰に心配することはありません。
② 変化や症状の現れ方には大きな個人差があります。周囲に合わせようと無理をしないでください。
③ 普通は時間とともに苦痛は和らいできます(時間薬り)が、長引いたりうつ病やPTSDになることもあります。
④ 心配な時は1人で悩んだり、気力で乗り越えようとせずに専門家に相談してください。

それでも、苦しい毎日を過ごす中では、以下の様なセルフケアの情報もお役に立てばありがたいと思います。

① とにかくゆっくり休んでみること。温かい食事、お風呂、十分な睡眠
② 信頼できる人に話を聴いてもらう
③ 楽しめる趣味を少しずつやってみる
④ リフレッシュできる軽めの運動
⑤ 呼吸法などのリラクセーション
⑥ カウンセリングを受けてみる
⑦ 専門医を受診してみる
⑧ お酒やギャンブル、激しい運動で気持ちを紛らわせるのは逆効果
⑨ 無理に乗り越えようとしないで、段階的に少しずつ…

まだ現場を見てもいない自分が、外から言うだけであり、何もできていないことに歯がゆさや心苦しさもありますが、影響を受けられたすべての皆様、とりわけ企業内で産業保健に携わる皆様と共に歩んでいければと考えています。

投稿日:2026.08.03
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