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【特別寄稿】休校が長引く際の子どもの心のケア

【特別寄稿】休校が長引く際の子どもの心のケア

【専門家コラム】

『休校が長引く際の子どもの心のケア』

新型コロナウイルス感染拡大予防のため学校が休校となり、二か月が経ちました。
ご家庭で一緒に過ごすお子様のご様子はいかがでしょうか。

最初は季節外れの夏休み気分でいた子どもたちも、さすがに二か月を過ぎると
だんだんモヤモヤしたものがたまってきているのではと思います。

「こんな生活いつまで続くんだ、つまんなーい」とか「自分もコロナにかかったらどうしよう…」
などイライラしたり不安な様子はありませんか。
今回はそんなモヤモヤしたお子様と関わるときのポイントについて、ご紹介させていただきます。

たとえばお子様が
「こんな生活いつまで続くんだ、もうあきた、つまんなーい」と不満を訴えてきたら、どのように返事をされますか。
「そんなこと言わないの、みんなガマンしてるんだよ」と諭しますか。
それとも「じゃあ、オセロでも一緒にやろう!」と楽しい提案をしますか。

応じ方は色々あると思いますが、
おススメなのはまず最初に「そうだよなあ~、つまんないよな~」と受け止めてあげて、
それから伝えたいことを伝えるという方法です。

「つまらない」とか「不安だ」といった、いわゆるネガティブなことばは良くないことばであり避けるべきもの、
という認識が一般的にあります。
そういったことばを聞くと、(今このネガティブなことばを認めてはいけない!ポジティブなものに変えなくては!)
という思いが勝手に湧いて来たりしませんか。

ネガティブなことば、すなわちそれはお子様のネガティブな思いですが、
どんな思いでも本人にとっては嘘偽りのない大切なものです。
そしてネガティブな思いは受け止めてもらえないと、いつまでもその人のなかでモヤモヤしたまま残ってしまい、
無気力やイライラにつながっていきます。

ネガティブをポジティブにすぐに切り替えようとせずに一呼吸置く。
そしてネガティブな思いを「そうだね」と受け止めながら、
「一方でこんな考えもあるよ」別の思考(情報、提案、指示など)を示してあげてください(下記例を参照)
そうすることでお子様は分かってもらえた安心感をもてますし、あなた様のことばも受け取ってもらいやすくなりますよ。

【例1】
子:「こんな生活いつまで続くんだ、もうあきた、つまんなーい」
親 :つまんないって、「大変な現場で苦しい思いしている人もいるし、みんな
ガマンしてるんだぞ」と言いたいところをいったん抑えて)
「たしかにいつまで続くんだろうな。それに外に出られないんじゃつまんないよな」
子:「うん…」
親:「ほかの子たちはみんなどうやってガマンしてるのかなぁ…。たまにはオセロでも
一緒にやるか?」
子:「え~っ、オセロ?…やるんなら家族みんなでやりたい」
親:「OK。そしたらみんなでやろうよ。負けないぞ~」

【例2】
子:(深刻な表情で)「自分もコロナにかかったらどうしよう…」
親:(うわっ、すごい表情「大丈夫、大丈夫、心配ないよ~」とすぐに励ましたいのを
いったん抑えて)
「○○ちゃんは自分がコロナにかかったら…と心配してるんだね」
子:「うん…」
親:「そうだよね…、心配だよね」
子:「大丈夫かな、わたし?」
親:「うん…。絶対かからないとは言えないけど、心配するからこそ手洗いや
うがいなどをきっちりやって、感染予防につなげられるんじゃない?
そしてそれは感染する可能性を下げることになると思うよ」
子:「うん…、そうだね、できることをやるしかないか」

いかがでしょうか。
ちなみに【例2】のような不安は、現在の状況が変わらない限り、またいつか生じてくる可能性があります。
同じような状態が長く続いたり、不眠、頭痛や腹痛などの症状がみられたりする場合は、相談機関や医療機関などに相談されるのも良いでしょう。
こちらのサイトも参考にしていただければ幸いです。
https://www.ncchd.go.jp/news/2020/20200410.html

そしてケアされるべきはお子様だけでなく、私たち大人もそうです。

新型コロナ感染の現状は大人にとっても初めての状況で、
ストレスを感じやすい環境であることには変わりありません。
家計の事や子どもの学習の遅れ、介護の事など、心配なことはたくさんあると思います。
お子様のことはもちろん大切ですが、ご自身のことも大切にしていただきたいと思います。
(誰かにグチを聞いてもらう、自分にささやかなご褒美を与えるなど)

そしてご自身を安定させることが、結果的にお子さんの心身の安定にもつながるものです。
先行きもわからないし、大きな流れのなかでは個人にできることは限られます。

でもそんなときだからこそ、ユーモアを忘れず、慌てずに、
みんなでみんなを支えあっていけたらいいなと願っております。

 

執筆:大竹保仁
臨床心理士。スクールカウンセラー勤務9年目。
株式会社ヒューマン・タッチ メンタルパートナー。

投稿日:2020.05.12
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